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「志ん朝」と「談志」。何が違ったのか?

大事なことはすべて 立川談志に教わった第8回

■「解釈」より「解析」で精一杯

 入門して20年以上が経過し、しかも師匠はもうすでにこの世を去ってしまったというのに、その遺してくれた言葉を時折反芻しても、いまだに解釈できない部分があります。

 いや、解釈は永遠にできないのかもしれません。せいぜいその思考の痕跡を追跡調査するだけという、「解釈」というより「解析」するのが精一杯なのが正直なところです。

 というのも、師匠は言動のみならず、思考までをもショートカットして処理する人だったからです。しかも「変幻自在」。時代の趨勢やらその折々の感性にまかせて、自分の理論も変化させてしまうのです。いや、変化というよりは、落語という生物を存続させるための進化というべきかな。

「落語は人間の業の肯定である」という歴史的な定義を世に問うたのは『現代落語論』執筆時。こんな全ての落語に存在意義を与えてしまったような心理の法則ですら、それに拘泥することは決してありませんでした。

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立川 談慶

たてかわ だんけい

昭和40(1965)年長野県上田市(旧丸子町)出身。1988年慶応義塾大学経済学部を卒業後、㈱ワコールに入社。セールスマンとしての傍ら、福岡吉本一期生として活動。平成3(1991)年4月立川談志門下へ入門。前座名立川ワコール。平成12(2000)年12月、二つ目昇進、談志より「談慶」と命名。平成17(2005)年4月、真打ち昇進。平成22(2009)年から二年間、佐久市総合文化施設コスモホール館長に就任。平成25(2013)年、「大事なことはすべて立川談志(ししょう)に教わった」(KKベストセラーズ)出版、以来、「落語力」「いつも同じお題なのになぜ落語家の話は面白いのか」「めんどうくさい人の接し方、かわし方」「落語家直伝うまい!授業のつくり方」「なぜ与太郎は頭のいい人よりうまくいくのか」「人生を味わう古典落語の名文句」など「落語とビジネス」にちなんだ書籍の執筆。NHK総合「民謡魂」BS日テレ「鉄道唱歌の旅」テレ朝系「Qさま!」CX系「アウトデラックス」「テレビ寺子屋」などテレビ出演も多数。現在、東京新聞月一エッセイ「笑う門には福来る」絶賛好評連載中


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